飲食店の経営において、日々の光熱費、とくに電気代は経営に大きな影響を与える固定費のひとつです。
一般的に、飲食店では売上高の約3〜7%が電気代に充てられていると言われており、業態や営業時間によってはそれ以上になることもあります。
厨房機器や冷蔵庫、照明、空調など、営業中は多くの設備が稼働し続けているため、電力使用量は高くなりやすく、経営に占める比重も大きくなります。
さらに、夏や冬の冷暖房シーズンには、空調の稼働時間が長くなることで電気代が急増する傾向があります。
このように、飲食店では年間を通じて電気の使用量が多くなりがちですが、少しの工夫や見直しでコストを抑えることも十分に可能です。
ここでは、電気代を無理なく削減するために、今すぐチェックしておきたい5つのポイントを紹介します。
店舗運営の見直しに、ぜひお役立てください。
飲食店の電気代を抑えるために見直すべき5つのこと
飲食店では、調理、空調、照明など多くの設備が日常的に稼働しており、電気代は月々の経費の中でも特に大きな割合を占めます。
光熱費が高騰する中、日々の運用を見直すだけでも電気代を抑える余地は十分にあります。
ここでは、今すぐ取り組みやすい5つの見直しポイントをご紹介します。
見直し①:照明の節電
飲食店では、店内の雰囲気づくりのために照明を多く使用することが一般的ですが、その分、電力消費も大きくなりがちです。
電球をLEDに切り替えることで、同じ明るさでも消費電力を大幅に削減することができます。
さらに、営業時間外や空席が多い時間帯など、必要のない場所の照明はこまめに消すことが大切です。
点灯のルールを明確にしたり、照度を調整できる機器を活用するなど、日常の小さな工夫が積み重なって節電につながります。
見直し②:空調の運用
冷暖房の効きすぎや設定温度のムラは、快適性だけでなく電気代にも影響を与えます。
夏は冷やしすぎず、冬は暖めすぎないように設定温度を見直すことで、空調の負荷を軽減できます。
また、エアコンのフィルターが汚れていると、効率が悪くなり余計な電力を消費します。
定期的な清掃や点検を行い、必要であれば古い機器の更新も検討するとよいでしょう。
空調機器の運転管理をしっかり行うことで、快適な空間と省エネの両立が可能になります。
見直し③:厨房機器の見直し
厨房では、冷蔵庫、冷凍庫、コンロ、フライヤーなど多くの機器が稼働しており、特に冷却・加熱を伴う機器は電力消費が大きくなります。
機器の使用時間やタイミングを工夫することで、電力の集中を防ぎ、効率よく運用することができます。
また、古い厨房機器は消費電力が高い傾向があります。
電気代が気になり始めたら、機器の入れ替えも選択肢のひとつです。
省エネ性能が高い製品に切り替えることで、長期的に見て運用コストを抑えることができます。
見直し④:電気の使い方を見える化する
電気の使い方を見える化することで、どこで無駄が発生しているかを具体的に把握することができます。
見える化とは、店舗全体の電力使用量だけでなく、時間帯別や設備別に、どのくらい電気が使われているかを数値やグラフで確認できるようにすることです。
見える化を実現するには、まずデマンド監視装置やエネルギーマネジメントシステム(EMS)などの機器を導入する必要があります。
これにより、分電盤や回路ごとに電流を計測し、どの設備がどれだけの電力を消費しているかをリアルタイムで記録・表示できるようになります。
これらの情報をもとに、ピークの発生時間をずらしたり、特定機器の稼働タイミングを調整したりすることで、契約電力の見直しや電気代の削減につなげることができます。
また、見える化されたデータは日報や月報として出力できるため、経営者やスタッフ全体で電気の使い方を共有しやすくなり、店舗全体での省エネ意識の向上にもつながります。
見直し⑤:契約プラン・電力会社を再チェック
電気の使用方法は変えなくても、契約しているプランや電力会社を見直すことで、電気代が下がる可能性があります。
特に、開店当初からプランを変更していない場合は、現在の使用状況に合っていない契約内容となっていることもあります。
使用量が安定している飲食店では、市場価格に応じて料金が変動するプランが有利になるケースもあります。
店舗の雰囲気やサービス品質を維持しながら、日々の電気代を抑えるには、無理なく続けられる対策から少しずつ取り組むことが大切です。
まずは、できるところから見直してみましょう。
戸建ての飲食店の電気代対策2選
戸建てで運営している飲食店では、毎月の電気代が経営に与える影響が大きくなりやすい傾向があります。
とくに照明や空調、厨房機器などが長時間稼働するため、使用電力量が多くなりがちです。
そうした中で、建物の屋根や敷地を活用できる戸建て飲食店だからこそ取り組みやすい、電気代削減の方法が太陽光発電と蓄電池の導入です。
ここでは、それぞれの特徴と導入のメリットについて解説します。
①太陽光発電の導入のメリット
太陽光発電を導入することで、昼間に自家発電した電力を店舗の運営に活用することができます。
飲食店は日中に営業していることが多く、発電した電力をそのまま使う「自家消費型」の運用と相性が良いです。
これにより、電力会社からの購入量を減らすことができるため、電気料金を安定的に抑えることができます。
電気料金が高騰している現在、自家発電によって使用単価を抑えられる点は、大きな経営メリットになります。
初期投資が必要ではありますが、補助金の活用やリース方式を取り入れることで、導入負担を軽減することも可能です。
屋根のある店舗であれば、スペースを有効活用しながら、長期的なコスト削減に貢献できる選択肢となります。
②蓄電池の導入のメリット
太陽光発電と併せて検討したいのが、蓄電池の導入です。
発電した電力をその場で使いきれない場合でも、蓄電池があれば余った電力をためておくことができます。
これにより、夕方から夜にかけての営業時間や早朝の仕込み時間など、発電できない時間帯でも自家電力を活用することが可能になります。
また、ピーク時間帯の電力使用量を抑えることで、契約電力の見直しや基本料金の削減にもつながります。
加えて、停電などの非常時には店舗の最低限の運営を継続できるという点でも、蓄電池は防災の観点からも有効な設備です。
近年では、小規模な事業者向けに導入しやすい容量や価格帯の蓄電池も増えてきており、飲食店でも手が届きやすくなっています。
自家発電と電力の蓄積を組み合わせることで、戸建て飲食店はより高いレベルでの電気代対策が可能になります。
日々の運営に無理なく取り入れられるこれらの対策は、経営の安定にもつながります。
導入の検討にあたっては、店舗の規模や使用電力量、設置スペースに応じて最適なプランを見つけることが大切です。
飲食店の電気代を切り替えると約25%削減できる!?
飲食店の電気代は、調理・冷蔵・照明・空調など多くの設備を日常的に使うため、月々の固定費の中でも大きな割合を占める傾向があります。
電力使用そのものを減らすのが難しい業種だからこそ、契約内容の見直しによるコスト削減が有効です。
ここでは、実際に電力契約を切り替えたことで、電気代の削減に成功した飲食店の事例を3つご紹介します。
①A飲食店の場合:月20万円から30%削減
A飲食店は、約35坪の昼営業を中心とした居酒屋です。
ランチタイムは高稼働で、厨房設備や空調の使用が集中するため、電気代が毎月20万円ほどかかっていました。
電力使用のピークが日中に集中している点を踏まえ、使用状況に合ったプランを採用している電力会社に切り替えたところ、月額電気代は約30%削減され、現在は14万円前後に抑えられています。
②B飲食店の場合:月6万円から20%削減
B店舗は、約20坪のカフェで、営業時間は朝10時から夕方18時までと比較的短めです。
比較的省エネを意識していたものの、使用しているプランが実際の利用時間帯に適しておらず、割高な料金設定となっていました。
新たな電力契約では、昼間の単価が低めに設定されたプランに切り替え、結果として月々の電気代は約12,000円の削減につながりました。
③C飲食店の場合:月12万円から15%削減
C店舗は、約28坪の飲食店で、昼から夜にかけて通し営業を行っています。
調理機器の稼働が長時間に及ぶため電力使用量が多く、月12万円前後の電気代がかかっていました。
そこで、契約プランの見直しとあわせて、使用ピークの分析と部分的な時間帯の見直しを行い、電気代の削減を実現しました。
現在は、約15%減の月額102,000円程度で運用されています。
どの電力会社と契約しているか、またはどのプランを選んでいるかによって、削減できる金額や割合は異なります。
昼間の使用量が多い店舗では、市場連動型や時間帯別単価が有利になることがあり、夜間の稼働が多い店舗では別のプランの方が効果的な場合もあります。
< 電気代を削減できる理由 >
電気代を抑える手段のひとつとして注目されているのが、「市場連動型プラン」です。
これは、電力の市場価格に連動して料金が決まる仕組みで、特に日中に営業している美容室との相性が良い特徴があります。
まず、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの普及が進んだことにより、日本全体で昼間の発電量が増えている状況があります。
電力供給が増えると需給バランスの関係で市場価格が下がりやすくなり、昼間の電気が安くなる傾向が出ています。
次に、実際の取引価格を見ても、日中の時間帯は0.01円/kWhのような安価で取引される時間が多く、平均的に電気料金が下がる要因になっています。
特に昼間に稼働時間のピークを迎える美容室では、この価格帯での電力を活用できるため、コスト削減に直結します。
さらに、市場連動型プランは、市場価格に応じて料金が変動する仕組みのため、仕入れ価格が明確で透明性が高いという利点もあります。
一般的な固定単価制と異なり、価格改定による突然の値上げリスクが抑えられる点も安心材料のひとつです。
これらの理由から、市場連動型プランは美容室のように昼間の電力使用が多い業種にとって、有利に働く可能性が高いと言えます。
もちろん、天候や市場の状況により価格が変動する点には注意が必要ですが、使用パターンが安定している店舗にとっては非常に効果的な電気代対策となります。
まずは現状の契約内容や過去の使用実績をもとに、見直しの余地がないかを確認することが、電気代削減の第一歩となります。
飲食店の電気代の削減は岡山電力へご相談ください
飲食店では、調理機器や空調、照明など日常的に多くの電力を使用するため、電気代は経営を左右する大きな固定費のひとつです。
今回ご紹介した照明や空調の見直し、契約プランの再検討など、電気代を抑えるための対策は、どれも無理なく始められる内容ばかりです。
なかでも、電力会社の見直しは、使用量を変えることなくコストを削減できる有効な方法です。
現在の契約内容が店舗の運営に合っていない場合、数万円単位の削減につながることもあります。
岡山電力では、全国(離島を除く)に対応しており、飲食店の電力使用状況に合わせた最適なご提案を行っています。
料金シミュレーションやプラン比較も無料で対応していますので、電気代の見直しをご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。