太陽光発電を導入するとき、誰もが気になる「10年後の姿」。
FIT（固定価格買取制度）によって導入から10年間は高単価で売電できるものの、その後の収益はどうなるのか、不安に感じる方も多いはずです。
特に「2019年問題」以降、売電価格の下落や、太陽光パネルの寿命・メンテナンスコストに注目が集まっています。
この記事では、太陽光発電の10年後に何が起こるのかをわかりやすく解説しつつ、賢く備えるための具体的な対策を徹底紹介。
「売電ができなくなる？」「設置コストは回収できる？」「メンテナンスは必要？」そんな疑問を持つあなたのために、チェックリストもご用意しました。
将来後悔しないために、今知っておくべき太陽光発電のリアルな10年後像とは？
この記事を読めば、安心して導入への一歩を踏み出せるはずです。
太陽光発電の10年後が不安？「2019年問題」とは？
ここでは、世間でよく話題となっている2019年代問題について、解説していきます。
それぞれ、確認していきましょう。
「2019年問題」とは何か？
「2019年問題」とは、太陽光発電の初期導入者たちが、国の固定価格買取制度による10年間の優遇期間を終了したことで直面した問題のことをいいます。
2009年に始まったFIT制度のもとで、太陽光発電設備を導入した家庭や事業者が、2019年に10年の買取期間満了を迎え、従来の高価格での売電ができなくなったのです。
この結果、売電収入が大幅に減少し、太陽光発電の「収益性」が低下するという懸念が広がりました。
これから太陽光発電を導入しようとしている人にとっては、2019年問題そのものは直接関係ありませんが、「10年後には売電価格が下がる可能性がある」という基本構造は変わらないため、正しく理解しておく必要があります。
固定価格買取制度（FIT）の概要
固定価格買取制度（FIT制度）とは、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及を促進するため、国が定めた一定の価格で電力会社が電気を買い取ることを義務付ける制度です。
この制度により、発電事業者は導入から10年間、安定した価格で売電収入を得ることができます。
たとえば、2009年当時は1kWhあたり48円という高額な価格で買い取られていましたが、年々買い取り価格は下がっており、2025年時点では16円程度になっています。
FIT制度は、太陽光発電を初期費用回収しやすくする一方で、「10年で終了する」という特徴があり、導入後10年を過ぎると市場価格での売電に切り替わるため、売電単価が大幅に下がるリスクが生じるのです。
FIT制度が終了する10年後、太陽光発電はどうなる？
FIT制度により、導入から10年間は安定した売電収入を得られる太陽光発電ですが、買取期間終了後はどうなるのでしょうか？
10年後、売電価格の低下は避けられない一方で、適切な対策を取れば、太陽光発電を引き続き有効活用できます。
ここでは、売電継続の可能性や、自家消費の重要性、そして10年後に向けた準備について詳しく解説します。
買取期間終了後も売電は可能？
FIT制度終了後も、太陽光発電で得た電力を電力会社に売ることは可能です。
ただし、FIT期間中のような「固定高価格」での売電はできなくなり、電力会社ごとに設定された「市場価格」での買い取りになります。
このため、売電単価は大幅に低下することが一般的です。
例えば、現在の非FIT買取価格は、kWhあたり7〜10円程度が目安とされています。
とはいえ、売電を完全にあきらめる必要はありません。
電力会社を比較して、より高く買い取ってくれる事業者を選んだり、売電量に応じた特典サービスを利用したりすることで、引き続きメリットを得ることができます。
自家消費で電気代を節約する方法
売電価格が低くなるなら、発電した電気を自宅で使う「自家消費」に切り替えるのが賢い選択です。
自家消費とは、太陽光発電で作った電力をそのまま家庭で使用し、電力会社から買う電気を減らすことを指します。
特に電気料金の値上げが続く今、自家消費を増やすことで大幅な節約効果が期待できます。
例えば、日中に洗濯機や食洗機を使ったり、エアコンを稼働させるなど、発電量が多い時間帯に積極的に家電を使うと、節約効果を高めることが可能です。
さらに、蓄電池を併用すれば、昼間に発電した電気を夜間に使うこともでき、無駄なく活用できます。
10年後に備えて準備すべきこととは？
売電契約が満了する前に、各電力会社の非FITプランを比較検討し、より条件の良い契約先を選んでおくと安心です。
また、自家消費を最大化するために、電力消費パターンを見直したり、必要に応じて蓄電池や高効率家電への買い替えも検討しましょう。
さらに、太陽光発電設備そのものの状態も大切です。
定期的な点検・メンテナンスを実施し、10年後も安定した発電性能を維持できるよう備えることが、将来の安心につながります。
10年後に太陽光パネルのメンテナンスや交換は必要？
太陽光発電設備は比較的長寿命ですが、10年を超えたタイミングでの点検やメンテナンスは、とても重要です。
一般的に、太陽光パネル自体の寿命は20〜30年以上とされていますが、発電効率は少しずつ低下していきます。
特に、パワーコンディショナー（発電した直流電力を家庭用交流電力に変換する機器）は寿命が10〜15年程度とされており、10年後には交換を検討する必要が出てくる場合があります。
また、パネルの表面汚れや配線の劣化なども発電量の低下を招く原因となるため、定期点検や清掃を行い、必要であれば修理や部品交換を実施することが、長期的に発電量を維持するカギとなります。
太陽光発電導入のメリットとは
太陽光発電は、単なる売電収入だけでなく、家計や環境に対しても多くのメリットをもたらします。
特に、エネルギー価格が高騰し続けている今、自家消費型太陽光発電の恩恵はますます大きくなっています。
ここでは、経済面と環境面のそれぞれのメリットについて詳しく解説します。
①経済的なメリット
太陽光発電を導入する最大の魅力の1つは、電気代を大幅に節約できる点です。
日中に発電した電力を自家消費すれば、電力会社から購入する電力量を減らすことができ、電気代が確実に下がります。
また、売電によって副収入を得ることも可能です。
さらに、太陽光パネルの価格は年々下がっており、設置コストは以前よりも手が届きやすくなっています。
初期投資は必要ですが、10年〜15年ほどで回収できるケースが多く、その後は「ほぼ無料の電力」を得ることができるため、長期的には大きな経済メリットを受けられます。
②環境に優しいエネルギー
太陽光発電は、地球環境に優しいクリーンエネルギーです。
化石燃料と違い、太陽光は無限に供給され、発電の過程で二酸化炭素（CO₂）を排出しないので、導入するだけで温室効果ガス削減に貢献できるのです。
現在、地球温暖化対策は世界的な課題となっており、個人レベルでできる対策としても太陽光発電は、とても効果的です。
環境負荷を減らし、持続可能な社会の実現に貢献できるという意味でも、太陽光発電はとても価値ある選択肢と言えるでしょう。
太陽光発電の10年後に後悔しないためのチェックリスト
太陽光発電は長期的に大きなメリットが得られる設備ですが、10年後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないためには、導入前から意識しておくべきポイントがあります。
以下のチェックリストを参考に、後悔しない準備を進めましょう。
- 設置前にシミュレーションをおこなったか？
太陽光発電量や電気代削減効果の試算をおこない、リアルな収支を把握しておきましょう。 - 信頼できる施工業者を選んだか？
アフターフォローや保証内容を重視し、実績が豊富な業者を選ぶことが重要です。 - パネルやパワーコンディショナーの保証期間を確認したか？
長期間安心して使えるよう、最低でも10年保証があるか確認しましょう。 - 売電だけでなく自家消費も考慮したか？
売電頼みではなく、発電した電力を有効活用できるプランを立てましょう。 - 10年後のメンテナンス・交換費用を想定しているか？
パワーコンディショナーの交換など、将来必要な出費も見込んでおくと安心です。
これらのポイントをしっかり押さえることで、10年後も太陽光発電のメリットを最大限に受け続けることができるでしょう。
【まとめ】太陽光発電の10年後を見据えて、今動くべき理由
太陽光発電は「10年で終わり」ではなく、「10年後からが本当のスタート」とも言えます。
FIT制度終了後も、適切に運用すれば自家消費による電気代節約や、低価格ながら売電による収入が見込めます。
さらに、地球環境に貢献できるという社会的意義も加わり、太陽光発電の価値はますます高まっています。
導入前にしっかりとプランニングし、10年後のライフプランを見据えて動くことで、後悔のない賢いエネルギー選択ができるでしょう。
「太陽光発電の10年後」が不安な方も、今このタイミングで一歩踏み出すことが、未来への最高の投資となるはずです。
