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マンションの屋上に太陽光発電は設置できる?設置可否から合意形成、収益化モデルまで徹底解説

公開日:
2025.05.20

近年、マンションの共用部にかかる電気代の負担が着実に増しています。

とくにエレベーター、共用照明、防犯設備などに使われる電力は、多くの場合「高圧契約」となっており、燃料費調整額や再エネ賦課金の上昇により、管理費への影響が無視できない水準に達してきました。

管理組合としても、電気代の上昇にどう対策するかは、これからの時代において避けて通れない課題のひとつです。

そこで注目されているのが、屋上スペースへの太陽光発電の導入です。

従来は「使い道がない」とされていたマンションの屋上ですが、現在では再生可能エネルギーを生み出す資産として活用できるようになりつつあります。

共用部の電力に自家発電を充てて管理費を削減する方法に加え、PPA(第三者所有)や売電モデルによって屋上を収益化できるスペースに変える発想も広がっています。

ここでは、マンションの屋上に太陽光発電を設置できるのかどうかという可否の判断から、管理組合での合意形成、実際に稼働させた際の収支モデルや運用の考え方まで、実務に役立つ内容を分かりやすく解説します。

マンション屋上に太陽光発電は設置できるのか?可否を見極めるチェックポイント

マンションの屋上に太陽光パネルを設置することは、共用部の電力コスト削減や防災対策、さらには資産価値の向上にもつながる可能性があります。

しかし、すべてのマンションで設置が可能とは限りません。

ここでは、実際に導入できるかどうかを判断するうえで重要となる3つのチェックポイントを解説します。

①屋上の構造・法規制

まず確認すべきは、屋上そのものの構造と安全性です。

太陽光パネルは風圧や重量がかかる設備のため、建物の構造上、それに耐えられる設計になっているかが非常に重要です。

具体的には以下のような点をチェックする必要があります。

  • 防水性能の維持:架台設置時に屋上の防水層を傷つける恐れがあるため、適切な施工とメンテナンス体制が求められます。

  • 荷重への耐性:パネル・架台・ケーブルなどを含めた重量に屋根が耐えられるか、構造計算で確認する必要があります。

  • 避雷設備の干渉:避雷針やアース線などとの安全距離を確保できるかを事前に確認します。

  • 建築基準法や消防法:設置によって建物の用途や安全性が損なわれることのないよう、法令順守が前提となります。

これらの要素はすべて専門的な調査・設計を伴うため、導入の初期段階で現地調査と技術的検討を行うことが不可欠です。

②共用部扱いとしての管理規約の確認

屋上は通常、専有部分ではなく共用部分とされており、住民全体の共有財産にあたります。

そのため、太陽光発電設備を設置するには、管理規約の確認と管理組合による合意形成が必要です。

多くのマンションでは、共用部分の変更には管理組合総会での特別決議(区分所有者と議決権の4分の3以上の賛成)が必要とされています。

さらに、設備の維持管理や事故時の責任分担、売電収益の扱いなどもあらかじめ明確にしておくことが望まれます。

また、規約の中に「屋上への工作物設置を禁止する」等の条項がある場合は、規約自体の変更が必要になることもあります。

設置の可否を判断するうえでは、技術的な条件だけでなく管理上のルールをしっかりと確認することが欠かせません。

③導入に適したマンションの特徴と見分け方

太陽光発電をマンションに導入する際、建物の条件によって実現性や効果が大きく変わってきます。

すべてのマンションが太陽光設備の設置に適しているわけではなく、導入に向いているかどうかを見極めるには、いくつかの視点から判断することが重要です。

まず、築年数は大きな判断材料のひとつです。

比較的新しい築20年未満のマンションであれば、構造上の耐荷重性や屋上の防水状態が良好であることが多く、太陽光パネルの設置にも前向きに対応しやすい傾向があります。

ただし、築年数が古くても、直近で大規模修繕を終えている場合や屋上の改修履歴がある場合には、十分に検討対象となります。

次に、屋上の形状や広さも重要です。

平坦で障害物が少なく、十分な面積が確保できる屋上であれば、太陽光パネルを効率よく設置しやすくなります。

逆に、機械室や貯水槽などの設備が多く設置されていたり、屋上が複雑な形状をしていたり、傾斜が急である場合は、施工が難しくなるケースがあります。

発電効率の観点からも、設置スペースに制約があるマンションでは導入効果が限定的になることがあります。

さらに、管理組合の意思決定体制や合意形成のしやすさも見逃せません。

理事会がエネルギーコスト削減や防災対策に関心を持ち、導入の検討に前向きな場合は、計画がスムーズに進みやすくなります。

過去に設備更新や改修を積極的に行ってきた管理組合では、太陽光発電に対しても柔軟な対応が期待できます。

加えて、共用部の電力使用量が多いマンションや、今後EV充電設備の設置を予定しているマンションなどは、発電した電力の活用先が明確であり、経済的な効果も得やすいという特徴があります。

このように、築年数、屋上環境、組合体制、電力需要など、複数の観点から見て導入に適しているかどうかを判断することが、成功につながる第一歩となります。

判断に迷う場合は、岡山電力のような専門事業者に相談し、現地調査と初期診断を受けることで、より確かな判断ができるようになります。

マンションでの太陽光発電導入の2つのモデルと法人が選ぶべき運用方法

マンションにおける太陽光発電の導入には、いくつかの異なるモデルがあります。

なかでも代表的なのが「自家消費型」と「屋上貸し(PPA)型」です。

導入目的や資金計画、管理組合の体制によって、選ぶべきモデルや運用方法は異なります。

ここでは、それぞれの特徴と、導入時の判断ポイントについて整理します。

①自家消費型

もっとも分かりやすく、導入効果が実感しやすいのが「自家消費型」のモデルです。

これは、屋上に設置した太陽光パネルで発電した電力を、マンションの共用部で使用する方式です。

具体的には、エントランスや廊下の照明、エレベーター、給水ポンプ、防犯カメラなど、日常的に稼働している設備に太陽光電力を充てることで、電力会社からの購入量を削減できます。

日中の使用電力を中心に置き換える形になるため、発電時間帯と需要がうまく一致すれば、毎月の共用部電気代を確実に抑えることができます。

また、電気料金の削減効果が管理費にも反映されることで、住民全体にとってのメリットが明確になり、合意形成もしやすくなる傾向があります。

このモデルは、設備の設置・所有・運用をマンション側が直接担うケースが多く、初期投資は必要となるものの、長期的なコスト削減と自立性の高さが魅力です。

②屋上貸しモデル(PPA)

もう一つの選択肢が「屋上貸しモデル」、いわゆるPPA(Power Purchase Agreement)方式です。

これは、マンションの屋上スペースを太陽光発電事業者に貸し出し、その事業者が設備を所有・運用し、発電した電力を管理組合が買い取るというスキームです。

このモデルの最大の特徴は、初期費用が一切かからない点です。

設備投資やメンテナンスの手間はすべて事業者側が担うため、管理組合にとっては導入のハードルが非常に低くなります。

事業者が設定する電力単価は、市場価格より割安に設定されることが多く、導入初日から電気代の削減効果が期待できます。

また、発電量に応じた「屋上使用料」や固定収入を得られるケースもあり、屋上スペースの有効活用としても注目されています。

収益性とリスク回避のバランスを重視したい法人・管理組合にとって、現実的で柔軟な導入手段と言えるでしょう。

③投資型か委託型か、管理組合の判断ポイント

太陽光発電を導入する際、管理組合が直面する大きな判断のひとつが、「自ら投資して所有するか」「外部に委託して利用するか」という選択です。

それぞれの方式にはメリットと課題があり、組合の運営方針や財務状況によって最適解は異なります。

投資型の場合、発電設備を自前で所有するため、長期的には電力コスト削減効果をすべて享受できるというメリットがあります。

また、余剰電力の売電によって収益を得られる可能性もあります。

ただし、初期費用の確保や設備の維持管理に対する責任が生じるため、資金に余裕があり、エネルギー活用への理解が深い管理組合に向いています。

一方、委託型は、初期投資や管理の負担がなく、設備の導入から運用までを事業者に一任できる点が最大の強みです。

長期契約となることが多いため、事前に契約内容や電力単価の条件を十分に確認し、将来的な費用対効果を把握しておくことが重要です。

管理組合がどのモデルを選ぶべきかは、マンションの財政状態、組合の運営体制、住民の合意形成のしやすさ、そしてエネルギーコスト削減への優先度によって判断するのが現実的です。

マンション屋上太陽光の導入ステップと合意形成プロセス

マンションの屋上に太陽光発電を導入するためには、技術的な要件だけでなく、管理組合としての正式な意思決定と住民の合意形成が必要です。

導入を成功させるには、段階ごとに適切な準備と対応を行うことが求められます。

ここでは、導入の基本ステップを順を追って解説します。

ステップ①理事会での検討と事前合意の形成

まず最初に行うべきなのが、管理組合内での基本的な合意形成です。

理事会で太陽光発電の導入を「検討すべきテーマ」として取り上げ、目的や方針を共有する段階からスタートします。

この時点では、具体的な機器や金額を決める必要はありませんが、電気代の削減、防災対策、環境配慮、資産価値向上といった導入の目的を明確にし、組合内での賛同の土台をつくっていくことが重要です。

また、理事会での賛同が得られれば、次のステップである現地調査や提案依頼へと進めやすくなります。

将来的に総会での決議が必要になるため、反対意見が出にくいように、早い段階で情報共有と住民説明の準備を始めておくことが効果的です。

ステップ②現地調査・概算提案

理事会での了承を得た後は、専門事業者による現地調査と、設備設計・収支シミュレーションの作成を行います。

ここでは、建物の屋上構造や方角、日照条件、防水状況などを調査し、実際に設置が可能かどうかを技術的に確認します。

同時に、導入規模に応じた概算費用と電気代削減効果、維持管理費用、想定される補助金などを盛り込んだ提案書が作成されます。

住民説明用の資料としてもこの段階で準備しておくと、後の総会での理解促進につながります。

ここまでの作業は費用が発生しないケースもあり、まずは無料で調査・シミュレーションに応じる事業者も多く存在します。

岡山電力では、これらの調査・提案に無料で対応しており、管理組合向けの提案資料作成もサポートしています。

ステップ③総会での決議

太陽光発電の導入は、マンションの共用部分に新たな設備を設置する「重要な変更」にあたるため、管理規約に基づいて総会での正式な決議が必要となります。

通常、このような共用部分の変更には、区分所有者および議決権の4分の3以上の賛成が求められます。

そのため、総会に先立って理事会メンバーによる説明会を開催したり、わかりやすい資料を配布したりするなどして、住民の理解と支持を得る工夫が不可欠です。

特に、導入によって発生する費用や工事の内容、日常生活への影響などに関する質問に丁寧に答えることで、反対意見や不安を和らげることができます。

この段階が、導入を実現できるかどうかの大きな分かれ目になります。

ステップ④契約・工事・連系開始

総会での承認が得られた後は、いよいよ正式な契約と設置工事に進みます。

契約内容には、機器の仕様、設置スケジュール、保証・保守内容、費用負担の内訳などを明確にし、管理組合としての責任範囲と事業者側の対応を確認します。

設置工事では、屋上へのパネル設置、配線工事、インバータの設置、既存の電気設備との接続(連系)などが行われます。

工程中には安全確保や住民への周知を徹底し、トラブルのない施工を進めることが大切です。

また、多くの自治体や国の制度では、再生可能エネルギー設備に対して補助金が用意されており、この申請も工事契約と並行して行う必要があります。

補助金申請には設置業者の協力が欠かせないため、実績ある事業者に依頼することで、スムーズな手続きが期待できます。

工事が完了し連系が始まれば、いよいよマンションの屋上が電力を生む資産として活用される段階に入ります。

運用後は定期点検や発電状況のモニタリングなどを通じて、計画通りの効果が出ているかを継続的に確認していくことも重要です。

マンション太陽光導入の法人側メリットと注意点

マンションへの太陽光発電導入は、住民や管理組合だけでなく、管理会社やオーナーといった法人にとっても大きなメリットがあります。

ただし、導入には特有の注意点もあり、長期的な視点での判断が求められます。

ここでは、法人側の立場から見た導入効果と留意点を整理します。

<メリット>

マンションに太陽光発電を導入することは、管理組合や不動産オーナーにとってさまざまなメリットがあります。

最大の利点は、共用部の電気代を削減できることです。

エレベーターや照明など、日中の電力需要を太陽光でまかなうことで、毎月の管理コストを安定的に下げる効果が期待できます。

さらに、蓄電池と組み合わせれば停電時にも電力を供給でき、防災機能の強化にもつながります。

これにより、入居者の安心感が高まり、長期的な入居率の維持にも貢献します。

また、再生可能エネルギーの導入実績は、環境意識の高い入居者や企業にとって大きな魅力となり、物件価値の向上や差別化にもつながります。

環境配慮型の物件として、ESG意識の高い法人テナントにもアピールできる点は、大きな利点です。

<注意点>

法人として太陽光発電の導入を進める際には、いくつかの注意点もあります。

最も大きなハードルは、住民全体の合意形成です。

共用部分への設備設置には、管理組合総会での4分の3以上の賛成が必要となるため、十分な説明と丁寧な対応が欠かせません。

また、設備導入後も長期間にわたって安定した運用を行うためには、保守点検やトラブル対応の体制を事前に整えておく必要があります。

導入直後は問題がなくても、年数を経て故障や発電量の低下が生じた場合に、迅速な対応が取れる体制であることが重要です。

導入メリットに目を向けるだけでなく、こうした管理・運営面の課題を事前に見越したうえで計画を立てることが、失敗しない太陽光導入のポイントです。

業者選定においては、導入から保守まで一貫してサポートを受けられる体制を選ぶことが、法人としてのリスク管理にもつながります。

マンションの屋上活用としての太陽光発電は有力な選択肢

マンションの屋上は、これまで活用の難しいスペースとされてきましたが、太陽光発電の導入によって価値を生む場所へと変わりつつあります。

共用部の電気代削減や防災機能の強化、再エネ導入による物件価値の向上など、メリットは多方面にわたります。

もちろん、設置には技術的な可否だけでなく、管理規約の確認や総会での合意形成といった壁も存在します。

しかし、それらを丁寧にクリアすれば、マンション全体にとって長期的に大きな利益をもたらす選択肢となることは間違いありません。

収益化を含めた運用モデルも整ってきており、初期費用ゼロで始められるPPA方式なども含め、多様な導入形態が選べる時代です。

今ある屋上を、資産として活かすチャンスと捉えて、まずは情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。

太陽光導入を検討されている管理組合・オーナーの皆様は、実績豊富な岡山電力までお気軽にご相談ください。

 導入可否の診断から、住民説明用の資料作成、補助金の申請支援、施工・運用サポートまで、一貫して対応いたします。

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