太陽光発電を導入するときに気になるのが、「売電収入はどれくらい得られるのか?」 という点です。
太陽光発電の経済的メリットを正しく把握するためには、売電シミュレーションをおこない、発電量や収支バランスを具体的に計算することが重要になります。
しかし、シミュレーション方法にはさまざまな種類があり、計算方法や結果の精度が異なります。
また、売電収入だけでなく、電気代の削減効果や維持管理費用も考慮しなければ、実際の収支とズレが生じることもあります。
この記事では、売電シミュレーションの方法や計算の流れをわかりやすく解説します。
さらに、シミュレーションのときに注意すべきポイントも詳しく紹介しますので、太陽光発電の導入を検討している方はぜひ参考にしてください!
売電シミュレーションとは?
太陽光発電の導入を検討するとき、発電量や売電収入を正しく把握することが重要です。
そのために役立つのが「売電シミュレーション」です。
売電シミュレーションとは、設置する太陽光パネルの発電量や売電単価をもとに、電気代の削減効果や売電収入を予測する計算のことを指します。
このシミュレーションをおこなうことで、初期費用の回収期間や収益性を事前に把握し、経済的に合理的な判断ができるようになります。
しかし、シミュレーションにはさまざまな計算方法があり、どの方法を選ぶかによって結果が異なるため、適切な手法を選ぶことが大切です。
売電シミュレーション方法や種類と特徴
売電シミュレーションを行う方法には、大きく分けて以下の4つの方法があります。
- メーカーや販売店によるシミュレーション
太陽光パネルメーカーや販売店が提供するシミュレーションサービスを利用する方法です。
専門的なツールを使うため、精度が高いデータを得られますが、販売目的で楽観的な数値が提示される場合もあるため注意が必要です。
- シミュレーションソフトを活用する方法
国立研究開発法人「NEDO」のデータを活用したシミュレーションソフトを使う方法です。
信頼性が高く、個人でも利用できるものが多いため、客観的なデータを得ることができます。
- 施工業者によるシミュレーション
設置を依頼する施工業者が独自の計算ツールを用いて、発電量や費用回収期間を算出するケースです。
実際の設置環境を加味したリアルなシミュレーション結果が得られますが、業者ごとに計算方法が異なるため、複数の業者で比較するのがおすすめです。
- 自分で手計算する方法
太陽光パネルの出力や日射量データを元に、自分で発電量や収益を計算する方法です。
ある程度の知識が必要ですが、複数の情報源を活用しながら検証することで、より正確なデータに近づけることができます。
これらの方法を組み合わせることで、より信頼性の高いシミュレーション結果を得ることが可能です。
太陽光パネル1枚あたりの発電量をシミュレーションする様々な方法
売電シミュレーションをおこなうときには、まず太陽光パネル1枚あたりの発電量を計算する必要があります。
ここでは、具体的な方法を3つ紹介します。
①自宅の屋根に太陽光パネルを設置可能か計算する方法
自宅の屋根に太陽光パネルを設置するとき、まずは屋根の面積と形状を確認し、設置可能なパネルの枚数を計算し、以下の要素を考慮しながら計算をします。
- 屋根の広さと形状
屋根が平坦な場合と傾斜がある場合では、実際に設置できる面積が異なります。
傾斜屋根の場合は、「屋根勾配係数」を考慮して計算する必要があります。
例:三寸勾配(17°)なら、横幅×1.044を掛けることで実際の設置面積を求められます。 - 障害物の有無
屋根の形状だけでなく、換気扇、エアコンの室外機、アンテナなどの障害物の位置も考慮する必要があります。 - 方角と傾斜角度
南向きの屋根が最も発電効率が高いですが、東西向きでも一定の発電量を確保できます。傾斜角度も日射量に影響を与えるため、適切な角度を選ぶことが重要です。
②太陽光パネルの設置枚数から発電量を計算する方法
屋根の面積を求めた後、次に太陽光パネルの設置枚数を計算します。
一般的な太陽光パネルのサイズは 1枚あたり約1.6㎡(縦1.6m×横1m) です。
例えば、屋根の有効面積が 30㎡ ある場合、設置可能なパネル枚数は以下のように計算できます。
(例)30㎡ ÷ 1.6㎡ ≈ 18枚
ただし、屋根の端には200〜500mmの余白を残す必要があり、実際には計算よりも少ない枚数しか設置できないケースがあります。
また、各メーカーによってパネルのサイズが異なるため、設置前にカタログなどで確認することが大切です。
③出力から発電量をシミュレーションする方法
太陽光パネルの設置枚数が決まったら、次に出力をもとに発電量を計算します。
基本的な計算式は、以下のとおりです。
1日の発電量(kWh) = 1日の平均日射量(kWh/㎡) × 太陽光発電の出力(kW) × 損失係数(0.85)
例えば、設置容量が 5kW で、1日の平均日射量が 4.0kWh/㎡ の場合、
(例)4.0 × 5 × 0.85 = 17kWh
このように、1日あたり 約17kWh の発電量が見込まれます。
1ヶ月あたりの発電量は、さらに 30日を掛けて計算できます。
17kWh × 30日 = 510kWh
これをもとに、売電単価や自家消費割合を考慮し、経済的なメリットを試算することが可能です。
売電シミュレーションでわかる2つのこと
売電シミュレーションをおこなうことで、単に発電量を把握するだけでなく、電気代の削減効果や売電収入と初期費用のバランス についても詳しく確認できます。
ここでは、特に重要な2つのポイントを解説します。
【ポイント①】電気代削減効果の詳細データ
太陽光発電を導入することで、自宅で発電した電力を使う「自家消費」が可能です。
その結果、電力会社から購入する電気の量が減るため、毎月の電気代を削減できます。
具体的にどの程度の削減効果があるのかは、以下の要素によって変わります。
自家消費割合 発電した電力のうち、どれだけ自宅で消費するか(一般的に30~50%程度) 電力会社の電気料金 1kWhあたりの電気代(契約プランによって異なる) 発電量の季節変動 夏場は発電量が多く、冬場は少なくなる傾向
例えば、毎月 400kWh の電気を消費し、そのうち 50%(200kWh) を自家消費できるとします。
電気料金が 30円/kWh の場合、毎月の電気代削減額は以下のように計算できます。
(例)200kWh × 30円 = 6,000円
年間では 6,000円 × 12ヶ月 = 72,000円 の削減が見込めます。
このように、シミュレーションを通じて電気代の節約額を明確に把握できます。
【ポイント②】売電収入と初期費用返済のバランス確認
太陽光発電を導入するときの重要なポイントは、「売電収入によって初期費用をどれくらい回収できるか」です。
売電収入は、以下の計算式で求めることができます。
売電収入(月)= 売電量(kWh) × 売電単価(円/kWh)
例えば、月間売電量が300kWh、売電単価が16円/kWh(FIT制度適用)の場合、は以下のとおりとなります。
300kWh × 16円 = 4,800円
このように、毎月 約4,800円 の売電収入が得られます。
太陽光発電の初期費用が 150万円 で、10年ローン(月額15,000円)で返済する場合、売電収入をローンの支払いに充てると、
15,000円 - 4,800円 = 10,200円
このように、ローンの一部を売電収入で補うことができ、自己負担額を軽減できます。
このバランスを確認することで、太陽光発電の導入が経済的にメリットがあるかどうかを判断することが可能です。
売電シミュレーション依頼時に注意すべき2つのポイント
ここでは、売電シミュレーションを依頼するときに注意するべき2つのポイントについて紹介していきます。
それぞれ、確認していきましょう。
①日照時間以外のデータが含まれているか確認する
シミュレーションの計算には、以下のようなデータが影響します。
- 地域ごとの日照時間データ(NEDOなどの公的機関のデータを使用しているか)
- 屋根の向きや角度の影響
- 影の影響(周囲の建物・樹木)
- 天候の影響(年間の曇天・降雨日数)
- 電気料金の変動要素
一部のシミュレーションでは、日照時間のみを考慮し、その他の条件を十分に反映していないことがあります。
特に、影の影響が大きい場合、シミュレーション通りの発電量が得られない可能性があるため、事前に業者へ確認するようにしましょう。
②維持管理費用が考慮されているか確認する
太陽光発電システムは、設置後も定期的なメンテナンスが必要です。
以下のような維持管理費用が発生することを忘れずに、シミュレーションに含めましょう。
- パワーコンディショナーの交換費用(約10~15年ごとに交換が必要)
- 点検・メンテナンス費用
- 保険料(火災・自然災害保険)
- 売電収入にかかる税金(所得税・固定資産税)
例えば、パワーコンディショナーの交換費用が 30万円 かかる場合、10年後にこの費用を考慮して収支を見直す必要があります。
維持費を無視したシミュレーションを参考にすると、実際には想定よりも利益が出ない可能性があるため、必ず確認しましょう。
まとめ
太陽光発電の売電シミュレーションは、経済的なメリットを事前に把握し、導入を判断する上で欠かせない作業です。
シミュレーションを行うことで、以下のようなメリットがあります。
- 電気代削減効果を具体的に計算できる
- 売電収入とローンのバランスを確認できる
- 発電量をシミュレーションする方法を理解できる
- シミュレーション依頼時の注意点を把握できる
ただし、業者やツールによって計算方法が異なるため、複数のシミュレーション結果を比較しながら検討することが大切です。
また、売電収入だけでなく、維持管理費用や税金 などのコストも考慮することで、より正確な収支計画を立てることができます。
太陽光発電の導入を検討している方は、今回の内容を参考に、売電シミュレーションを活用してみてください。