太陽光発電のFIT(価格固定買取制度)は、導入後10〜20年の期間が経過すると終了し、売電価格が大幅に下がります。
「FIT買取期間が終わったら、太陽光発電は意味がなくなるのでは?」と不安に思う方もいるかも知れません。
この記事では、FIT制度の仕組みや2025年以降の買取価格の動向、FIT終了後の電気の使い方について詳しく解説します。
また、「売電価格が下がっても太陽光発電は導入すべきか?」という疑問に対して、メリット・対策を整理し、設置している家庭の特徴を紹介します。
卒FIT後の賢い選択肢を知り、太陽光発電を最大限に活用するためのポイントを押さえて準備しましょう!
太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)とは?
FIT(固定価格買取制度)とは、再生可能エネルギーによる発電を促進するために、国が定めた価格で、一定期間、電力会社が電気を買うことを義務付ける制度です。
これにより、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及が広がり、個人や企業が発電事業に参入しやすくなりました。
再生可能エネルギーを対象とした買取制度とは何か?
FIT制度は、2012年7月に日本で開始され、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど)を対象としています。
この制度の目的は、再生可能エネルギーの普及を促進し、エネルギーの安定供給を目指すことにあります。
FITの仕組み
- 個人・法人が太陽光発電システムを導入し、電気を発電する。
- 発電した電気は、決められた価格で一定期間、電力会社に買ってもらう。
- 購入価格は国が毎年設定しており、新規参入者の購入上限は徐々に低下する仕組み。
FIT制度の買い取り期間は何年?
FIT制度における購入期間は、発電規模によって異なります。
10kW未満の住宅用太陽光発電 買取期間:10年間 個人住宅に設置する小型な太陽光発電システムは、発電した電気のうち、残りの空き分だけが買い取られます。 10kW以上の事業用太陽光発電 買取期間:20年間 企業や工場が導入する大規模なシステムは、発電した電力をすべて販売できる電器ケースが多く、買取期間も長めに設定されています。
購入期間が終了すると、FITの固定価格での売電はなくなり、電力会社自由契約プランに移行するか、自家消費へ移行する必要があります。
再エネ賦課金とは?
再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)とは、FIT制度を支えるために、電力使用者が支払う、電気料金とともに追加する料金のことです。
この賦課金は、電力会社が再生可能エネルギーの買い取りにかかる費用を補填するためのもので、毎年変動します。
2023年5月以降の再エネ賦課金
- 1kWhあたり1.4円(2023年5月の改正で改定)
- 一般家庭の分担負担は約700円前後
この賦課金は、再生可能エネルギーの導入量が増えるほど上昇する傾向にあります。
さらに、FITの買取価格が低下し、新規導入者が減少すると、将来的に負担が軽減される可能性もあります。
2025年最新!FITにおける買い取り価格の状況と今後の見通し
2025年のFIT価格買取価格は、これまでの傾向を踏まえるとさらに低下することが予想されます。
FIT制度が始まった2012年当初、住宅用太陽光発電(10kW未満)の売電価格は48円/kWhでしたが、2023年度は16円/kWhまで下落しました。
2024年度はさらに引き下げられ、2025年も同様の傾向が続く可能性が高いです。
2025年の売電価格予測
- 住宅用(10kW未満):9~12円/kWh
- 事業用(10kW以上):7~10円/kWh
これにより、FIT制度の特典は以前ほどなくなり、自家消費や蓄電池の活用がより重要になります。
2025年以降、FIT制度が適用されない「卒FIT」家庭が増えているので、以下の選択肢を検討する必要があるでしょう。
- 自家消費を増やす(蓄電池の導入・電気の使い方を工夫)
- 売電プランを再検討し、電力会社の新しい買取プランを活用する
- 電力会社を選んで、高値で買ってくれる業者を探す
売電価格の低下を考慮すると、単純に売電収入が得られるのでなく、発電した電気を効率的に活用するかがポイントになります。
FIT買取期間が終了した後はどうする?
FITの買取期間(10〜20年)が終了すると、固定価格での売電はなくなります。
しかし、発電した電気は考えて活用できるため、いくつかの選択肢を検討することが重要です。
余った電気を賢く自家消費する方法
FIT買取期間が終了すると、売電価格は大幅に下がるため、残余電力を有効活用するには「自家消費」が重要になります。
自家消費を増やすことで、電気代の削減につながり、長期的なコストパフォーマンスが向上します。
そこでおすすめなのが、蓄電池の導入です。
蓄電池を設置することで、夜間に発電した電気を夜間に使用できるように、電力会社からの買電量をコントロールすることができます。
また、災害時に家庭用電源としても活用できるため、万が一のリスクを軽減できます。
さらに、太陽光発電と連携できるスマート家電やHEMS(エネルギー管理システム)の導入により、電力の使用効率を最大化する仕組みが増えてきています。
システムを活用し、EVのバッテリーを家庭用電源として活用することも可能です。
FIT終了後の売電先やプランを見直すポイント
FIT終了後も、電力会社に売電を継続することは可能ですが、FIT期間中に比べて買取価格は大幅に下がります。
そのため、売電収入だけに依存せず、最も有利な条件で電気を売る方法を選ぶことが重要です。
現在、多くの電力会社が卒FIT向けの買取プランを提供しています。
例えば、大手電力会社では7〜9円/kWhの買取価格が設定されることが多いですが、新電力会社の中には9〜11円/kWhで、購入するところも。
また、PPA(電力購入契約)を活用する方法もあります。
PPAは、発電した電気を特定の企業や団体に直接販売する仕組みで、通常の売電よりも高い価格で取引できる可能性があります。
自治体や地域の電力共同体(ローカルエナジーシステム)に参加することで、電力の地産地消が促進され、より安定した売電収入を得ることに期待することが可能です。
FIT買取期間中に設置費用は回収できるの?期間終了後の費用回収方法を解説
ここでは、FIT期間終了後の太陽光発電設置費用の回収方法について、詳しく解説していきます。
それぞれ、確認していきましょう。
FIT期間内で設置費用を回収できるか試算
FIT期間内に設置費用を回収できるかどうかは、初期投資額・売電価格・発電量・電気料金削減額の4つの要素によって決まります。
以下に、一般的な住宅用太陽光発電(5kW)のシミュレーションを示します。
項目 数値(概算) システム設置費用 100万円 FIT買取価格(2025年予測) 10円/kWh 年間発電量 5,000kWh 売電収入 5万円 年間電気料金削減額 4万円 合計回収額(10年間) 90万円
このシミュレーションでは、売電収入と電気料金の削減額を合わせて年間9万円の経済効果が見込めます。
そのため、FIT期間の10年間で約90万円を回収できる計算になります。
このような状況を踏まえ、FIT期間終了後のコスト回収方法も考慮することが重要です。
FIT期間終了後に効率よくコスト回収するコツを紹介
FIT買取期間が終了すると、売電価格は大幅に下がるため、設置費用の回収が完全に終わっていない場合でも、別の方法でコストを回収する必要があります。
①自家消費の割合を増やし、電気料金の削減効果を高める
卒FIT後は、電力の購入価格よりも、発電した電気を自家消費する方が経済的メリットが大きくなります。
例えば、FIT終了後の売電価格が7円/kWh程度になった場合、発電した電気を家庭で使えば電気料金の削減効果(約30円/kWh)が4倍以上になります。
そのため、ほとんどの電気を自宅で消費することが、効率的なコスト回収の方法となり、電力会社からの買電量を減らし、電気代を削減することが可能です。
②電力会社の卒FIT向けプランを活用する
FIT終了後でも、電力会社によっては、比較的高い価格で買い取ってくれるプランを提供している場合があります。
例えば、PPA(電力購入契約)や新電力会社を活用することで、10円/kWh以上の売電価格が設定されるケースもあります。
③メンテナンスを適切に行い、発電効率を行う
太陽光発電システムは一生使用できますが、定期的なメンテナンスを行わないと発電効率が低下することがあります。
発電力をキープするためにも、業者による定期点検を必ず実施するようにしましょう。
売電価格が下がるなか太陽光発電は導入すべきか?
ここでは、太陽光発電の導入におけるメリット、デメリットについて詳しく解説していきます。
それぞれ、確認していきましょう。
導入メリットとデメリット
【メリット】
- 自家消費で電気代を節約
太陽光発電で発電した電気を家庭内で使用することで、電力会社から買う電気の量が減ります。
特に、電気料金が上昇している現在、電気代の節約効果が以前よりも大きくなっています。
- 非常用電源用としての活用
停電時でも太陽光発電が稼働していれば、昼間は電気を使うことができます。
また、蓄電池と組み合わせれば、夜間の電力確保も可能になります。
- CO2排出量の削減(環境への貢献)
太陽光発電はクリーンエネルギーのため、CO2排出量の削減、環境負荷の軽減に貢献できます。
企業や自治体では、環境の意識から導入を進める動きもあります。
- 補助金や補助金の活用が可能である
地域によっては、太陽光発電や蓄電池の導入に補助金が適用される場合があります。
また、ZEH(ゼロエネルギーハウス)を目指す住宅向けのじっくり検討もあり、初期投資を抑えられる可能性があります。
【デメリット】
- 初期費用がかかる(100万円以上)
太陽光発電システムの設置には、約100万〜150万円の初期費用がかかります。
FITによる売電収入が少ない現在では、初期投資を回収するために、少しの運用が必要です。
- 天候に左右される発電量
太陽光発電は、天候や設置場所の日当たりに大きく影響を受け、雨の日や曇りの日が多い地域では、発電量が安定しないことがあります。
屋根の形状や材質によって設置できない場合があるため、太陽光パネルの設置には、屋根の広さや強度が十分であることが必要です。
また、屋根の角度や方角によっても発電効率が変わるため、適した環境でないと十分な発電量が得られない可能性があります。
- メンテナンスが必要(定期点検が推奨)
太陽光パネルは比較的メンテナンスフリーですが、ちょっとの使用によって汚れや劣化が進むと発電効率が下がるため、定期的な点検や清掃が必要になります。
太陽光発電の設置に向いている家庭・向いていない家庭
太陽光発電の導入が向いている家庭と、あまりメリットが得られない家庭の特徴を解説します。
【設置に向いている家庭】
- 電気代が高い家庭(特にオール電化住宅)
- 一日中の電気使用量が多い家庭(共働きよりも在宅時間が長い)
- 日当たりの良い屋根を持つ住宅(南向き・遮るものがない)
- EV(電気自動車)を全部または検討している家庭
- 勝手に住む予定の家(築浅・持ち家)
- 蓄電池やHEMS(エネルギー管理システム)と予定がある家庭
【設置に向いていない家庭】
- 電気使用量が少ない単身赴任
- 賃貸住宅やこれからで引っ越し予定の住宅
- 屋根の日当たりが悪い(北向き・影が多い)
- 台風や積雪が多く、パネルの設置・維持が難しい地域
- 設置費用の回収期間を短期で考えている家庭
【まとめ】FITの買取期間終了を見据えたベストな選択
FIT制度の購入期間終了に伴い、太陽光発電の導入や運用方法は「売電収入を得る」から「自家消費を最大化する」方向へ移行しています。
FIT終了後の対策としては、蓄電池の導入・スマート家電の活用・売電プランの見直しなどが挙げられます。
夜間に発電した電力を効率よく蓄え、夜間に使用することで電気料金を大幅に削減することが可能です。
また、電力会社の卒FITプランやPPAを活用すれば、少しでも高い価格で売電を続けることができます。
導入を検討するときには、自宅の電気使用状況や屋根の条件、長期的な居住計画を考慮し、自家消費を最大化できるかどうかを判断することが重要です。
今後は「売るより使う」時代に移行するため、太陽光発電を賢く活用し、経済的にも環境的にも有利に受ける方法を選択しましょう。