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蓄電池とは?仕組みや種類についてわかりやすく簡単に解説

公開日:
2023.11.29

蓄電池とは、電気エネルギーを蓄えておき、必要なときに電気エネルギーに戻して使う装置のことです。

蓄電池は名前の通り電池と同じ原理で動作しますが、電池は一度使い切ると再充電できません。一方、蓄電池は何度も充電と放電を繰り返すことができます。

この記事では、そんな蓄電池の仕組みや種類についてわかりやすく簡単に解説します。

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蓄電池の仕組みとは 

蓄電池の基本的な動作は、充電と放電の2つのプロセスに分けられます。

これらのプロセスは、電気化学反応によって制御されます。

以下に、蓄電池の蓄電と放電の仕組みを簡単に説明します。

充電の仕組み

蓄電池に電力を供給すると、電池内の電気化学反応が進行します。

この電気化学反応によって、電池内の化学物質がエネルギーを貯める形態に変化します。

具体的には、電池の陽極と陰極と呼ばれる2つの電極間で、イオンが移動し、化学エネルギーとして電気エネルギーが保存されます。

放電の仕組み

蓄電池から電力を取り出す(使用する)時は、電気反応が逆方向に進行します。

この反応によって、蓄電池内の化学エネルギーが電気エネルギーに変換され、外部の回路に電力が供給されます。

これらのプロセスは繰り返し行われ、蓄電池は多くの充電と放電サイクルを通じて電力を供給します。しかし、各サイクルで少量のエネルギーが失われ、時間とともに電池の性能が減少します。

ただし、蓄電池の種類によっては、上記の基本的な仕組みが異なる点もあります。

あくまで一般的な蓄電池の仕組みですので、ご注意ください。

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蓄電池の種類とは

蓄電池の種類は、主に使用される電極材料や電解質によって分類されます。

ここでは、代表的な蓄電池の種類とその特徴について紹介します。

・家庭用蓄電池
・産業用蓄電池
・ハイブリッド蓄電池
・鉛蓄電池
・ニッケル水素電池
・リチウムイオン電池
・NAS電池
・レドックスフロー電池

家庭用蓄電池

家庭用蓄電池とは、一般家庭で使用される小規模な蓄電池のことです。

停電時には非常用電源としても利用できます。

家庭用蓄電池の種類には、リチウムイオン電池や鉛蓄電池などがあります。

リチウムイオン電池は、高いエネルギー密度や長寿命などの特徴を持ちますが、高価であったり火災の危険性があったりすることが欠点です。

鉛蓄電池は、安価で耐久性が高いことが特徴ですが、重量が重くて効率が低いことが欠点です。

詳しくは後述します。

産業用蓄電池

産業用蓄電池とは、工場やビルなどの大規模な施設で使用される中・大型の蓄電池のことです。

特に産業用蓄電池は、

・停電時などの災害時にはバックアップ電源としても利用できること

・ピークカット・シフトなどの需要調整によってエネルギー効率やコスト削減を図ること

ができます。

産業用蓄電池の種類には、NAS(ナトリウム・硫黄)電池やレドックスフロー(還元酸化反応)電池などが一般的です。

NAS電池は、高温で動作することで高い出力や効率を実現することが特徴ですが、冷却システムや保安装置が必要であったり自己放電率が高かったりすることが欠点です。

レドックスフロー電池は、液体の活物質をタンクに貯めておくことで容量や出力を自由に調整できることが特徴ですが、漏洩や腐食のリスクがあったりシステム全体の効率が低かったりすることが欠点です。

詳しくは後述します。

ハイブリッド蓄電池

ハイブリッド蓄電池とは、異なる種類の蓄電池を組み合わせて、それぞれの長所を生かした蓄電池のことで、高出力と高容量の両方を兼ね備えることができます。

ハイブリッド蓄電池の種類には、鉛蓄電池とリチウムイオン電池の組み合わせや、ニッケル水素電池とリチウムイオン電池の組み合わせなどがあります。

鉛蓄電池とリチウムイオン電池の組み合わせは、鉛蓄電池の安定性とリチウムイオン電池の高効率を活かすことができます。ニッケル水素電池とリチウムイオン電池の組み合わせは、ニッケル水素電池の高出力とリチウムイオン電池の高容量を活かすことができます。

それぞれの良いところが取れる反面、大きく、価格も高くなるので注意が必要です。

鉛蓄電池

鉛蓄電池とは、鉛と酸化鉛を電極に、硫酸水溶液を電解質に使用する二次電池のことです。

鉛蓄電池は、自動車やバイクなどの始動用や照明用などに広く利用されています。

鉛蓄電池の特徴は、安価で耐久性が高いことです。

しかし、重量が重くて効率が低いことや、環境に悪影響を及ぼすことが欠点です。

ニッケル水素電池

ニッケル水素電池とは、ニッケル水酸化物を正極に、水素吸蔵合金を負極に、アルカリ水溶液を電解質に使用する二次電池のことです。

ニッケル水素電池は、携帯電話やカメラなどの家庭用機器や、ハイブリッドカーなどの自動車に利用されています。

ニッケル水素電池の特徴は、高い出力や長寿命であることです。

しかし、自己放電率が高いことや、メモリー効果が発生することが欠点です。

リチウムイオン電池

リチウムイオン電池は、正極にリチウム化合物、負極に炭素材料を用いた蓄電池です。

リチウムイオン電池は、高いエネルギー密度や充放電効率を持ち、自己放電が少ないという特徴があります。

そのため、携帯電話やパソコンなどの小型機器から、自動車や家庭用の大型機器まで幅広く利用されています。

リチウムイオン電池の欠点は、過充電や過放電などの異常時に発熱や発火する危険性があることや、高温や低温に弱いことです。

また、リチウム資源の枯渇や価格高騰も課題となっています。

NAS電池

NAS(ナトリウム・硫黄)電池は、正極に硫黄、負極にナトリウムを用いた蓄電池です。

NAS電池は、高いエネルギー密度や長寿命を持ち、大規模な蓄電システムに適しています。

そのため、太陽光発電所や風力発電所などの再生可能エネルギーの安定化やピークカットに利用されています。

NAS電池の欠点は、高温(約300℃)で動作する必要があることや、ナトリウムと硫黄が反応して生成するナトリウムポリ硫化物が漏れる危険性があることです。

また、高温で動作するために発熱量が多く、冷却システムが必要です。

レドックスフロー電池

レドックスフロー電池は、正極液と負極液に溶かした金属イオンを用いた蓄電池です。

レドックスフロー電池は、充放電時に正極液と負極液の間で金属イオンの酸化還元反応が起こります。

レドックスフロー電池の特徴は、正極液と負極液をタンクに貯めておくことで、エネルギー容量と出力を独立して調整できることです。

そのため、長時間の蓄電や大規模な蓄電システムに適しています。

レドックスフロー電池の欠点は、低いエネルギー密度や低い充放電効率を持つことや、正極液と負極液の漏れや混入による性能低下が起こりやすいことです。

また、正極液と負極液の材料によっては、高価や有毒なものがあることも課題となっています。

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蓄電池を設置するメリットとは

蓄電池を設置することで、以下の4つのメリットがあります。

①電気料金の節約
②電力の安定供給に貢献
③災害時などの非常時も利用可能
④CO2排出量など環境へ貢献

電気料金の節約

蓄電池を設置すると、昼間に発電した余剰な電力を夜間に使用することができます。

これにより、電力会社からの買電量を減らすことができ、電気料金を節約することができます。

また、ピーク時の需要に応じて蓄電池から放電することで、ピークシフト効果を得ることもできます。

ピークシフト効果とは、ピーク時の高い電気料金を安い時間帯にずらすことで、電気料金を削減する効果のことです。

電力の安定供給に貢献

蓄電池を設置すると、再生可能エネルギーの出力変動に対応することができます。

再生可能エネルギーは、天候や季節などによって発電量が変わりやすいため、電力の安定供給に課題があります。

しかし、蓄電池を用いることで、発電量が多い時には貯めておき、少ない時には放電することで出力変動を吸収することができます。

これにより、再生可能エネルギーの導入率を高めることができ、電力の安定供給に貢献することができます。

災害時などの非常時も利用可能

蓄電池を設置すると、停電時や災害時などの非常時にも利用することができます。

停電時や災害時には、通常の送配電網が機能しなくなる可能性があります。

しかし、蓄電池は自家発電システムとして機能するため、自立運転モードに切り替えることで自家発電した電力を使用することができます。

これにより、照明や冷蔵庫などの生活必需品や医療機器、通信機器などの緊急用品を動かすことができます。また、蓄電池から放電した電力を近隣の住宅や施設に供給することで、地域の防災力を高めることもできます。

CO2排出量など環境へ貢献

蓄電池を設置すると、CO2排出量などの環境負荷を減らすことができます。

太陽光発電などの自家発電システムは化石燃料などを使わず、再生可能エネルギーを利用して発電します。これにより、CO2や有害物質などの排出量を減らすことができます。

蓄電池は、この再生可能エネルギーの利用率を高めることで、化石燃料に依存する火力発電などの温室効果ガス排出源の削減につながります。

これにより化石燃料消費や排出を抑えることができます。

・再生可能エネルギーの利用率を最大化する
・再生可能エネルギー以外の発電量が減る
・火力発電などのCO2排出量の高い発電方式が減る
→CO2排出量を抑えることができる

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蓄電池を設置するデメリットとは

蓄電池を設置するデメリットは、以下のものが挙げられます。

①初期費用が高額
廃棄・処分の手間

これらのデメリットを考慮した上で、蓄電池の設置を検討する必要があります。

初期費用が高額

蓄電池は、機器の費用と設置費用がかかります。

機種にもよりますが、100万円から500万円、あるいはそれ以上の初期費用がかかると言われています。

この費用は、ほとんどの家庭では負担が大きいと言えるでしょう。

そのため蓄電池の導入には、長期的な計画と補助金などを含めた資金計画が必要です。

>>補助金記事リンク

廃棄・処分の手間

蓄電池は、寿命が来たら廃棄・処分する必要があります。

しかしこの廃棄は簡単ではありません。

蓄電池は、有害物質を含む場合がありますので、一般的なごみとして捨てることはできません。

廃棄・処分するには、専門業者に依頼するか、自治体の指定する場所に持ち込む必要があります。また、廃棄・処分費用は、蓄電池の種類や重量によって異なりますが、一般的には数万円から数十万円程度が必要です。

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蓄電池の設置に利用できる補助金とは

上記で蓄電池の設置には高額な費用がかかることを解説しましたが、実は設置時に使える補助金があります。

ここでは、蓄電池の設置に利用できる補助金の種類と内容について説明します。

・DER補助金
・DR補助金
・ZEH補助金

DER補助金、DR補助金、ZEH補助金の3種類は、代表例です。

他にもありますので、詳細はこちらをご覧ください。

>>補助金記事リンク

DER補助金

DERとは、分散型エネルギー資源(Distributed Energy Resources)の略です。分散型エネルギー資源とは、一般家庭や事業所などで発電や蓄電を行う小規模なエネルギー資源のことです。経済産業省が実施する補助金制度で、分散型エネルギー資源の導入や活用を促進するために、その設備費用の一部を補助するものです。蓄電池の設置にもこの補助金を利用できますが、いくつかの条件を満たす必要があります。

詳細はこちらのページをご参照ください。

参照:資源エネルギー庁

https://www.enecho.meti.go.jp/appli/public_offer/2022/0210_17.html

DR補助金

DRとは、需要調整(Demand Response)の略です。需要調整とは、需要家や事業者が自ら消費量を調整し、送配電網への負荷を低減することです。経済産業省が実施する補助金制度で、需要調整を行うために必要な設備やシステムの導入費用の一部を補助するものです。蓄電池の設置にもこの補助金を利用できますが、いくつかの条件を満たす必要があります。

詳細はこちらのページをご参照ください。

参照:資源エネルギー庁

https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/vpp_dr/measure.html

ZEH補助金

ZEHとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)の略です。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスとは、一年間で消費するエネルギー量と自ら発電するエネルギー量が同じになるように設計された住宅のことです。環境省と経済産業省が共同で実施する補助金制度で、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの普及を促進するために、その建設費用や改修費用の一部を補助するものです。蓄電池の設置にもこの補助金を利用できますが、いくつかの条件を満たす必要があります。

詳細はこちらのページをご参照ください。

参照:令和5年度 経済産業省及び環境省による戸建ZEH補助事業

https://sii.or.jp/zeh05/

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