HOME / ブログ / 法人電気代 / 特別高圧は何ボルト以上?高圧との違いをわかりやすく解説

blog

ブログ

特別高圧は何ボルト以上?高圧との違いをわかりやすく解説

公開日:
2025.04.18

電力に関する話題の中で、「高圧」や「特別高圧」という言葉を見聞きすることがあります。

どちらも一般家庭では使われない区分ですが、工場やビルなどの大口需要家にとっては、電気契約の種類を判断するうえで重要な区分となります。

「特別高圧」はその名の通り高い電圧で供給されるもので、略して「特高」と呼ばれることもあります。

やや専門的な内容ではありますが、電気料金や設備の設計、電力契約を考える際に基本として押さえておきたい知識です。

ここでは、「特別高圧とは何ボルト以上か?」という基礎的な疑問から、高圧との違いやそれぞれの契約対象、用途についてわかりやすく解説していきます。

特別高圧は何ボルト以上?高圧・低圧との違いを比較表で解説

電気の契約区分には、「低圧」「高圧」「特別高圧」の3種類があり、それぞれで電圧や契約電力、使用施設が異なります。

特に工場や大型施設では、どの契約に該当するかによって契約内容やコスト面に大きな違いが出るため、基本的な違いを理解しておくことが重要です。

ここでは、主な区分の違いを比較表とあわせて整理し、それぞれの特徴を解説します。

①特別高圧・高圧・低圧の比較表

区分電圧の目安契約電力の目安主な使用施設
特別高圧20,000ボルト
(20kV)超
2,000kW以上製鉄所
大型ショッピングモール
大学
など
高圧6,000〜20,000ボルト50kW以上〜
2,000kW未満
病院
学校
ビル
スーパーマーケット
など
低圧100〜200ボルト
(単相・三相)
50kW未満一般家庭
小規模商店
事務所
飲食店
など

「特別高圧」は、2万ボルトを超える高い電圧で電力を受ける契約形態で、主に製鉄所や大学、複合商業施設など、広い敷地や24時間稼働などで大量の電力を長時間にわたって使用する施設が対象となります。

こうした施設では、専用の変電設備を設置して電圧を下げ、建物内で使用可能なレベルに変換しています。

特高契約では、安定的かつ効率的に大電力を供給できる点が特徴ですが、初期投資や管理コストも高めになるため、使用規模とのバランスが重要です。

「高圧」は、6,600ボルト程度で供給される契約区分で、ビルや病院、スーパーなどで広く使われています。

使用電力がある程度まとまっている施設では、電力単価や基本料金などを考慮した場合、高圧契約のほうがコスト面で有利になることがあります。

また、高圧受電にはキュービクル(高圧受電設備)が必要で、これも選定や保守の対象となります。

「低圧」は、家庭や小規模店舗、事務所などで契約される一般的な区分です。

100〜200ボルトで直接電力が供給されるため、変圧設備は不要で、導入・管理が簡単です。

電力使用量が比較的少ない施設に適しており、契約の手続きや費用負担も軽くなります。

このように、電力契約の区分は、使用する電力量・施設規模・設備条件によって分かれており、それぞれに適した仕組みで供給が行われています。

契約区分を正しく理解することで、適切な設備選定や電気代の見直しにもつながります。

特に工場や事業所のように電力使用が大きくなりやすい施設では、契約内容の定期的な確認が大切です。

主な使用施設と契約電力の違い

契約区分によって、使用する電力の規模や施設の種類も明確に分かれています。

たとえば、特別高圧契約は常に大量の電力を必要とする24時間稼働の製造業や大型商業施設などで採用され、受変電設備も高い電圧に対応したものが必要になります。

一方で、高圧契約は比較的中規模な施設に広く利用されており、照明・空調・機械設備の使用が多い施設での導入が一般的です。

低圧契約は、主に家庭や小型店舗のように使用電力が少ない施設が対象となります。

また、契約電力が増えるにつれて基本料金の単価や受電方式も異なってくるため、適正な契約区分を選ぶことがコスト管理の面でも重要です。

契約電力が増えているにもかかわらず、適切な契約区分に見直されていないケースでは、基本料金が割高になることもあるため注意が必要です。

特別高圧と高圧の違い2選

工場や大型施設で契約される電力の区分には、「高圧」と「特別高圧」があります。

どちらも一般家庭で契約する低圧とは異なり、大量の電力を安定的に受けるための仕組みですが、契約内容や設備面にいくつかの違いがあります。

ここでは、代表的な違いを2つの視点から解説します。

①契約条件と料金体系

特別高圧契約は、契約電力が原則2,000kW以上、電圧は20,000ボルト(20kV)を超える施設が対象です。

大規模な工場や製鉄所、大学、商業施設など、電力を大量に継続して使用する需要家が主に該当します。

料金体系は、基本料金と従量料金に分かれており、契約電力が高くなる分、単価は比較的割安に設定されることが多い傾向にあります。

一方、高圧契約は、電圧が6,600ボルト程度(6kV〜20kV以下)で、契約電力は50kW以上〜2,000kW未満が対象です。

中小規模の工場やビル、医療・商業施設などで広く使われています。

特高と比較すると契約容量が小さいため、料金単価はやや高くなる傾向にありますが、施設の規模や使用状況によっては十分に適した契約形態です。

また、特高契約では、契約に関して個別に交渉するケースも多く、需要家ごとのオーダーメイドに近い契約内容が採用されることもあります。

これに対し、高圧契約は比較的標準化されており、電力会社ごとのメニューから選択する形が一般的です。

②設備・運用の違い

設備面でも特別高圧と高圧では大きな違いがあります。

特別高圧を行う施設では、高電圧に対応した専用の受変電設備(変電所レベルの構成)が必要です。

これらは敷地内に設置されることが多く、設計・建設・保守には高度な専門性が求められます。

電力会社との接続点もより高い電圧レベルで行われるため、系統の信頼性や供給安定性が非常に重視されます。

高圧契約では、キュービクル式高圧受電設備が一般的で、比較的コンパクトな構成で工場やビルに設置可能です。

定期的な保守点検は必要ですが、運用や導入のハードルは特高に比べて低く、導入コストやスペースの面でも現実的です。

また、特高契約では保安規制や保守体制に関する要件もより厳しく、自家用電気工作物の管理者配置や年次点検、停電時対応など、日常の運用における管理体制も充実している必要があります。

高圧契約においても管理は必要ですが、運用にかかる負担は相対的に軽くなります。

このように、「特別高圧」と「高圧」は、電圧や契約電力の違いだけでなく、契約内容、料金の仕組み、設備構成、管理体制まで多岐にわたって差があります。

施設の規模や使用電力、運用体制を踏まえたうえで、どちらが適しているかを見極めることが、無理のない運用とコスト最適化につながります。

特別高圧を使うメリットと注意点は?

特別高圧は、大規模な工場や施設が採用する電力契約の一つで、主に2万ボルト超の電圧で供給される契約形態です。

大容量の電力を効率的に受けることができる一方で、導入や運用には一定の条件や注意点もあります。

ここでは、特別高圧契約の代表的なメリットと注意すべき点について解説します。

①大容量の安定した電力供給が可能

特別高圧契約の最大のメリットは、大量の電力を安定的に受けられることです。

一般的に、契約電力が2,000kWを超える施設が対象となるため、大規模な生産設備や24時間稼働する工場、大学・病院などで採用されています。

高い電圧で受電することで、電流値が抑えられ送電ロスが少なくなり、効率よく大規模な電力を利用できる点が特長です。

また、専用の受変電設備を設けることで、系統の電圧変動や周辺施設の影響を受けにくく、供給の安定性も高まります。

これは、常に安定した電力が求められる設備や業種にとって大きなメリットとなります。

②デマンド管理や力率改善で電気料金を抑えることができる

特別高圧契約では、毎月の電気料金のうち「基本料金」が大きな比重を占めています。

この基本料金は、施設が契約している「契約電力」の大きさによって決まります。

契約電力とは、過去1年間の中で最も電力を多く使った30分間の平均使用量を基準に設定されます。

このため、一時的でも機器を多く同時に使用したタイミングがあると、それだけで契約電力が引き上げられ、以降1年間の基本料金が高くなってしまうことがあります。

こうした無駄なコストを抑えるために行うのが「デマンド管理」です。

デマンド管理とは、電力使用のピークを抑えたり、使用が集中する時間帯をずらすことで、最大需要電力を下げ、契約電力を適正な水準に保つ取り組みです。

このような対策を講じることで、契約電力を必要以上に高く設定されることを防ぎ、結果として基本料金の削減につながるのです。

加えて、電気をどれだけ効率的に使っているかを示す「力率」もコストに影響します。

力率が低いと、電力会社から供給される電気の一部が無駄になってしまい、その分を補うために料金が割増されることがあります。

このように、特別高圧契約においては、「どれだけ使うか」だけでなく、「いつ・どう使うか」という視点も非常に重要です。

デマンド管理や力率改善などの工夫によって、電気料金を抑えることができます。

③保安管理や初期設備コストには注意が必要

一方で、特別高圧契約にはいくつかの注意点もあります。

まず、専用の受変電設備が必要となり、導入時には多額の初期費用がかかることが挙げられます。

設備の設計や施工には高度な技術が求められ、スペースの確保も必要になるため、導入の計画段階から慎重な検討が必要です。

さらに、特高設備は「自家用電気工作物」に分類されるため、電気主任技術者の選任や定期的な点検、年次報告など、保安管理義務が発生します。

これに対応する体制が求められるため、専門の保安協会や外部委託先との連携も含めて、運用コストと管理負担を見込んだ上での導入判断が重要です。

特別高圧は施設の規模と使い方で判断しよう

電力契約を検討する際、「特別高圧にするべきか」「高圧で十分か」といった判断は、単に使用電力の多さだけではなく、施設の規模や電力の使い方、運用体制などを総合的に見て決める必要があります。

契約電力が2,000kWを超えるような大規模な施設では、特別高圧契約が基本となりますが、使用のピークが限定的だったり、運用に工夫ができる場合には高圧契約で対応できるケースもあります。

また、特別高圧では設備や保安体制に関して一定の条件やコストがかかるため、契約によるメリットと運用負担のバランスを見極めることが重要です。

岡山電力では、お客様の施設や使用状況をもとに、特別高圧か高圧か、最適な契約区分を丁寧に確認し、わかりやすくご提案しています。

料金や設備、運用面まで含めて総合的に判断したい方も、まずはお気軽にご相談ください。

初めてのご相談や情報収集の段階でも、専門スタッフが丁寧に対応いたします。

SHARE