太陽光発電や蓄電池の導入を考えるとき、実際にどれくらいの容量が必要なのかは悩みどころです。
とくに「5kWh」という容量は、日常の家電を動かしながら料金を抑えることを狙う人たちに選ばれやすい選択肢です。
しかし、なんとなく容量だけで決めてしまうと、本当に暮らしに合っているのかがわからないまま導入してしまうこともあります。
そこで本記事では、蓄電池5kWhの選び方や活用方法、費用と効果のバランス、さらに将来を見据えた容量アップの判断ポイントなどをくわしくまとめました。
5kWhがあなたの暮らしにどんなメリットをもたらすのか、また導入によって日々の電気代がどの程度軽減できるのかを、わかりやすく紹介します。
もし、停電や災害への備えも考えているなら、5kWhの蓄電池がどこまで対応できるかも参考にしてください。
蓄電池5kWhがおすすめの3つの家庭環境
ここでは、5kWhの蓄電池が向いているとされる代表的な家庭環境を紹介します。
どんな世帯規模や電力の使い方に合うかをくわしく見ていきましょう。
2〜3人世帯の電力使用パターン
人数が2〜3人の家庭では、冷蔵庫や照明、テレビなどの電力使用が中心になります。
一日の中で電力を多く使う時間帯は朝や夕方が多いため、蓄電池をうまく活用すれば電気料金を抑えやすくなります。
さらに5kWhという容量なら、夜間に充電しておいた電気を朝から午前中にかけて活用することで、昼間の料金をおさえやすいです。
余った分を夜の照明やテレビに回すこともできるので、ちょうどよい容量だと感じるケースが多いのが特徴です。
基本的な家電のみの使用世帯
エアコンを1台か2台ほど使う程度で、大きな電力を消費する家電が少ない家庭でも5kWhはバランスが取りやすいです。
たとえば炊飯器や電子レンジなどのキッチン家電を集中して使う時間帯が重なっても、一時的に蓄電池から電気を供給できるので、電気代を抑えるのに役立ちます。
普段からあまり多くの電気を使わない暮らし方であれば、5kWhでも時間帯に合わせた充放電を行うことで、頻繁な買い足しや容量不足の心配をしなくてすむでしょう。
売電重視の太陽光発電ユーザー
太陽光発電でできるだけ多く売電したい人にも5kWhは適しています。
昼間に発電した電気を自宅であまり使わずに売電に回したい場合、深夜に安い料金で充電しておいて、朝や夕方に活用するスタイルが取りやすいからです。
このように自家消費と売電をバランスよく行うことで、年間を通して得られる収益も変わってきます。
初期投資を大きくしすぎずに導入を検討したい方にとっても、5kWhは現実的な容量といえます。
蓄電池5kWhで実現できる5つの活用法
蓄電池を5kWhクラスで導入すると、どんなメリットがあるのかが気になるところです。
ここでは基本的な使い方から停電への備え、さらには電力需給をうまく調整する運用面まで、さまざまな可能性を見ていきましょう。
夜間の基本的な電力確保
深夜の安い電力をうまく使っておけば、翌日の日中に高い料金を払わずに電気を使うことができます。
冷蔵庫や照明、洗濯機など、日々の暮らしに欠かせない家電を中心にカバーできるので、生活の質を落とすことなく効率化しやすくなります。
5kWhの容量なら、毎晩しっかり充電しておけば翌日の朝から夕方まである程度まかなえるため、光熱費の削減が期待できます。
太陽光発電の余剰電力活用
昼間の太陽光発電で生まれた電気を優先的に自家消費し、余った分は蓄電池にためておくことで、夜間や早朝に使えます。
売電と自家消費のバランスをとりやすくなるので、電力会社への購入量を減らしながらも、なるべく多く売電を行いたい人にも向いています。
結果的に家計にやさしく、環境への負担を減らすことにもつながるでしょう。
電気料金の効率的な削減
蓄電池を導入すると、夜間の安い単価でためた電力を昼間に使えるようになります。
シミュレーションによると、5kWhの蓄電池なら年間で約6万円ほどの電気代削減が期待されます。
家庭ごとに料金プランは違うものの、毎月の電気代を抑えるうえでは大きな効果があるといえるでしょう。
停電時の必要最低限の電力供給
自然災害などで停電したとき、蓄電池にためておいた電気を活用できれば、冷蔵庫や照明などの基本的な家電をしばらく動かせます。
5kWhのシステムであれば、約8時間の電力を確保できるというシミュレーション結果もあります。
丸一日まるごとカバーするのは難しくても、情報収集や食材の保存に必要な時間をしのぐには十分といえるでしょう。
電力需給の最適化運用
電力会社の料金プランによっては、時間帯ごとの単価が異なることがあります。
そこで蓄電池を活用して、単価が高い時間帯は蓄電池から電気を使い、安い時間帯に蓄電池を充電するようにすれば、月々の電気代をおさえやすいです。
また太陽光発電と組み合わせることで、余剰電力を活用しながらさらに効率的な運用が可能になります。
蓄電池5kWhシステムの費用対効果3つの特徴
導入するとなると、気になるのは費用面とその効果です。
ここでは初期費用や維持費、毎月の電気代削減、そして投資の回収までの流れをまとめていきます。
初期投資と維持費用の内訳
5kWhの蓄電池を導入する場合、平均的には本体価格や工事費などを合わせておよそ69万円ほどが必要といわれています。
メーカーや販売会社によっては多少ばらつきがあるものの、大きく外れることは少ないです。
また蓄電池そのものには約10年ほどの寿命が想定されるので、維持管理のコストを考えると、年間あたりに割るとおよそ7万円弱ほどになります。
この数字はあくまでも目安ですが、長期的に見たときの家計への影響をイメージしやすくなるでしょう。
月間の電気代削減効果
シミュレーションによると、夜間の割安な電力をしっかり充電し、昼間に使うことで年間で約6万円ほど電気代を節約できます。
月にすると5,000円前後の節約効果が期待できる計算です。
家庭の電力使用量によっては変わってくる部分ですが、節電意識が高い家庭ほど削減幅が大きくなる可能性があります。
投資回収期間のシミュレーション
初期費用が約69万円かかり、年間の電気代削減が6万円ほどだとすれば、単純計算でおよそ12年前後で回収できることになります。
ただし補助金制度がある地域や、売電収入が見込めるケースではもっと早く回収できるかもしれません。
また蓄電池の寿命が約10年をめどに考えられていることから、そのあたりのバランスをどう見るかがポイントになります。
蓄電池5kWhの容量アップグレード3つの判断基準
5kWhを導入するか、それとも将来を見据えてもう少し大きめの容量を検討すべきか。
ここでは、容量のアップグレードを考えるときにチェックしたいポイントを紹介します。
将来的な電力需要の増加予測
家族が増える予定があったり、今後ライフスタイルが変わる見込みがある場合は、電力需要が増えるかもしれません。
この場合、5kWhだと将来的に電気が足りなくなる恐れがあります。
最初から少し余裕のある容量を選ぶか、追加できるタイプの蓄電池を選ぶなど、先を見据えた計画が大事です。
電気自動車導入の計画
電気自動車は充電にそこそこ大きな電力を必要とします。
もし今後導入するつもりがあるなら、蓄電池をもう少し大容量にするかどうかを考えておくと安心です。
すぐに必要ないとしても、将来の拡張がしやすい製品を検討しておくと、買い替えや増設のコストを抑えやすくなります。
大型家電の追加予定
エアコンの台数が増えたり、大型冷蔵庫や食洗機、乾燥機付き洗濯機などを導入すると、電力消費量が一気に増えるケースもあります。
5kWhの蓄電池でもやりくりできる場合は多いですが、大型家電の稼働時間が重なると容量不足が起きやすいこともあるでしょう。
蓄電池を長く使うことを考えるなら、あらかじめ見込んでおくと後々の後悔を減らせます。
まとめ
5kWhの蓄電池は、初期費用と日々の電気代削減効果をバランスよく得たい人にとって有力な選択肢です。
2〜3人世帯や大きな電力を必要としない暮らし方、さらに太陽光発電で売電を重視したい人にも向いているため、多くの家庭が興味を持ちやすい容量といえます。
実際に年間で約6万円ほどの電気代削減がシミュレーションされており、停電時にも8時間ほど必要最低限の家電が使える安心感が得られます。
将来的に家族構成が変わったり、電気自動車や大型家電を導入する可能性があるなら、少し余裕のある容量も検討するといいでしょう。
今の暮らしに必要な分だけを導入しておき、必要に応じて容量アップを検討するのもひとつの手です。
あなたの家庭環境に合った蓄電池をしっかり選べば、光熱費の負担をおさえながら安心な日々を送れる可能性が広がるでしょう。